2026年4月施行の年金増額: 2026年4月から、日本の公的年金が4年連続で増額されることが決定しました。物価や賃金の上昇を反映した今回の改定では、老齢基礎年金が1.9%、厚生年金が2.0%それぞれ引き上げられます。受給中の高齢者にとっては月数百円から数千円の上積みとなる見込みです。しかし、実際にどれだけ手元に届くかは、受給開始年齢や加入歴、就労状況によって異なります。60歳から90歳以上まで、年齢層ごとの平均受給額の実態と、今回の制度変更が家計に与える影響を整理してみます。
2026年度 年金増額の仕組み
今回の年金改定は、物価変動率3.2%と賃金変動率2.1%を踏まえたうえで行われました。年金制度のルール上、物価より賃金の伸びが低い場合は賃金変動率が優先され、2.1%を基準に計算されます。そこからマクロ経済スライドによる調整分が差し引かれ、最終的に基礎年金は1.9%増、厚生年金の報酬比例部分は2.0%増となりました。増額が実際の振込に反映されるのは、2026年6月15日の支払い分(4月・5月分)からです。
満額基礎年金と標準モデルの金額
2026年度の老齢基礎年金(満額)は月額70,608円となり、前年度比で1,300円増加しました。月額7万円台に乗るのはこれが初めてです。厚生年金については、平均賃金約51万円で40年間加入したモデルケースでは、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて月額237,279円と試算されており、前年度から4,495円の増加となっています。ただし、この金額はあくまで標準的なケースであり、個人の加入状況や収入によって大きく異なる点に注意が必要です。
60歳代の平均受給額と繰上げの注意点
60歳から64歳の年金受給者の多くは「繰上げ受給」を選択しており、この場合は繰り上げた月数に応じて年金額が恒久的に減額されます。繰上げ受給では1ヶ月あたり0.4%の減額が適用され、最大24%まで少なくなる可能性があります。2026年度の1.9〜2.0%増額はこの年代にも適用されますが、繰上げによる減額分が大きい場合は、増額の恩恵が限定的になることもあります。
65歳から69歳の本格受給開始
65歳以降は本来の受給開始年齢であり、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を合わせた受給が始まります。専門家によると、この年代が年金生活の設計においてもっとも重要な分岐点とされており、繰下げ受給を選ぶかどうかで老後の総受取額が大きく変わるといいます。厚生年金の平均受給額はこの年代で月14万円台前後とされており、基礎年金と合算すると世帯収入の主柱になります。
70歳代以降の受給実態
70歳から79歳の年代では、国民年金と厚生年金を合わせた平均的な受給額は月20万円前後とされています。この年代は現役時代に厚生年金への加入期間が長かった世代が多く、報酬比例部分が比較的充実していることが特徴です。長寿化の影響でこの年齢層の受給者数も増加しており、2026年の増額によって月3,000〜4,000円程度の上乗せが期待できると見られています。
80歳代以上の受給水準
80歳から90歳以上の高齢者層では、厚生年金の平均受給額が月15〜16万円台に達するケースも多く見られます。基礎年金と合わせると、平均的な世帯での月間受給合計は21万円前後とされています。ただし、後期高齢者医療制度の保険料や介護保険料が年金から天引きされるため、実際の手取り額はこの金額より少なくなります。医療費の自己負担増が重なる時期でもあり、年金のみに依存せず貯蓄を組み合わせた生活設計が求められます。
在職老齢年金の制度変更
2026年4月の改正では、働きながら年金を受け取る「在職老齢年金」の仕組みも見直されました。これまでは、賃金と年金の合計が月51万円を超えると年金の一部が支給停止されていましたが、2026年度からこの基準が月65万円に引き上げられます。例えば、年金が月10万円で賃金が月46万円の場合、合計56万円は新基準の65万円を下回るため、年金は全額受給できます。前年度の基準では一部停止となっていたケースが、今後は全額支給に切り替わる人が増える見込みです。
繰下げ受給で増額を最大化する選択
年金の受給開始を65歳より遅らせる「繰下げ受給」を選択すると、1ヶ月あたり0.7%の割合で増額され、70歳まで繰り下げた場合は最大42%、75歳では84%増となる可能性があります。健康状態や就労継続の見通しによって判断が変わるため、日本年金機構の「ねんきんネット」を活用して個別にシミュレーションすることが推奨されています。ただし、繰下げが必ずしも得になるかは、将来の受給総額と健康寿命を考慮したうえで判断する必要があります。
免責事項:本記事は、厚生労働省や日本年金機構などの公表データをもとに作成した情報提供を目的としたものです。年金受給額は加入歴・収入・受給開始年齢によって個人ごとに異なります。具体的な受給額の確認や手続きについては、最寄りの年金事務所またはファイナンシャルプランナーにご相談ください。


