障害年金の就労ルール2026: 病気やけがで日常生活に制限が生じた場合、多くの人が「仕事を続けながら年金をもらえるのか」「64歳でも受給できるのか」という疑問を持つ。2026年度(令和8年度)は、障害基礎年金が前年度比1.9%、障害厚生年金の報酬比例部分が2.0%それぞれ引き上げられ、受給者にとって注目の年となっている。しかし金額の変化だけでなく、就労ルールや年齢による切り替えの仕組みも正しく理解しておくことが重要だ。制度の全体像を把握することで、自分や家族にとって最も有利な選択ができるようになる。
2026年度 障害年金の受給額
2026年4月分から適用される新しい年金額では、障害基礎年金1級が月額88,260円、2級が月額70,608円となる。この改定は近年の物価上昇に対応したもので、厚生労働省が2026年1月に正式発表した。ただし実際の振り込みは偶数月15日に2か月分まとめて行われるため、最初に新しい金額が反映されるのは2026年6月の支払い分からとなる。受給者は6月以降に届く「年金額改定通知書」で正確な金額を確認することが求められる。
厚生年金加入者の受給額の差
国民年金加入者と厚生年金加入者では、受給できる障害年金の種類と金額に大きな開きがある。たとえば配偶者と子ども1人を持つ厚生年金加入者(障害等級2級)の場合、障害厚生年金に加算が加わることで年間約260万円程度になる可能性がある一方、国民年金加入者(同2級)では年間約116万円にとどまる場合もある。加入する制度と家族構成が受給額を大きく左右するため、自分の状況に合わせた確認が必要だ。
就労しても受給は継続できる
障害年金の制度には、就労を禁止する明確なルールは存在しない。つまり、仕事をしていても障害の状態が認められた等級に該当していれば、原則として受給を続けることができる。以前は「働いたら年金が止まる」という誤解が広く持たれていたが、実際には就労の有無ではなく障害の状態そのものが審査の中心となる。更新審査(通常1年から5年ごと)では就労状況も記載するが、障害の程度が変わっていなければ等級が維持される可能性が高い。
等級見直しのリスクと注意点
ただし例外がある。障害年金3級の受給者がフルタイムで長期間安定して就労を続けた場合、審査で「労働に相当な制限を受けていない」と判断され、等級が下がったり受給資格を失うリスクが1級・2級より高くなる。専門家によると、3級受給者は就労状況の変化を年金事務所に報告し、定期的に状態の記録を残しておくことが重要だという。就労が審査に与える影響は等級によって異なるため、一律に考えることは避けたほうがよい。
働けなくなった場合の年金継続
症状の悪化などで仕事を辞めた場合でも、障害年金は原則として自動的に停止されることはない。重要なのは「障害の状態が継続している」という事実であり、退職や収入がゼロになったこと自体が受給に直接影響するわけではない。次回の更新審査時に医師の診断書で状態を証明できれば、継続受給の可能性は十分ある。ただし、状況の変化を年金事務所に報告しないまま放置すると、後から問題が生じる場合があるため、速やかな届け出が求められる。
等級変更の額改定請求とは
もし症状が悪化し、以前よりも日常生活の困難さが増しているにもかかわらず等級が変わっていない場合、受給者自身が「額改定請求」を行うことで等級の見直しを求めることができる。この手続きは障害の状態が実態と合っていないと感じた時点で検討に値する。インドで生活困窮時に家族が行政窓口で給付金の見直しを申請するのと同様に、日本でも制度を活用した自発的な申請が受給者の権利として認められている。
64歳からの年金選択と切り替え
64歳前後は、障害年金と老齢年金の選択が現実的な問題として浮上してくる時期だ。厚生年金の加入歴がある人は、一定の要件のもとで「特別支給の老齢厚生年金」が64歳から受け取れる場合がある。ただし、障害年金と老齢年金を同時に満額受け取ることは原則できないため、どちらが有利かを比較したうえで選択することになる。障害厚生年金のほうが金額が高い場合は、そのまま障害年金を選ぶケースが多い。
65歳以降の障害年金の扱い
65歳になると障害年金と老齢年金の調整が改めて行われ、障害基礎年金は継続しつつ、障害厚生年金と老齢厚生年金のどちらか有利なほうを選ぶ形に移行する。この切り替えの判断を誤ると、受け取れる金額が下がる可能性もあるため、65歳の誕生日前に近くの年金事務所でシミュレーションを行っておくことを検討したい。制度の理解と早めの準備が、長期的な生活設計の安定につながる。
免責事項:本記事は公開情報をもとにした一般的な解説を目的としており、個別の年金受給額や受給資格を保証するものではありません。実際の受給額や手続きについては、日本年金機構または最寄りの年金事務所にお問い合わせください。制度の詳細は変更となる場合があります。


