日本の銀行口座ルール2026: 2026年、日本の銀行口座をめぐる環境が静かに、しかし着実に変わりつつあります。マネーロンダリングや特殊詐欺に悪用される口座が後を絶たない現状を受け、警察庁や金融庁は本人確認の仕組みを根本から見直す方針を固めました。オンライン手続きにおけるマイナンバーカードのICチップ読み取りへの移行、未利用口座への手数料拡大、そして非居住者の口座管理強化——これらの変化は、国内在住者だけでなく、海外に住む日本人や外国籍の方にも直接影響します。今のうちに制度の全体像を把握しておくことが、口座トラブルを未然に防ぐ最善の方法です。
eKYCとマイナンバー義務化
現在、銀行口座をオンラインで開設する際には、マイナンバーカードや運転免許証の券面画像を撮影して送信する方法が広く使われています。しかし警察庁は、犯罪収益移転防止法の施行規則を改正し、2027年4月からこの画像送信方式を原則廃止する方針を決定しました。これに先立つ形で、金融庁も2025年7月ごろから主要金融機関に対し「可及的速やかに」ICチップ読み取り方式へ移行するよう口頭で要請しています。一部の大手銀行やネット銀行はすでに2026年上半期の移行を計画しており、手続きの変化は思いのほか早く訪れる可能性があります。
ICチップ読み取りへの移行時期
マイナンバーカードのICチップをスマートフォンにかざして行う公的個人認証(JPKI)方式が、新たな本人確認の標準となります。インドの銀行でも近年Aadhaarを使った生体認証が口座開設の基本となったように、日本でもデジタル身分証との連携が急速に進んでいます。ただし、マイナンバーカードも運転免許証も持っていない人は、住民票の原本を郵送する方法が引き続き認められる予定です。マイナカードの普及率は2025年6月末時点で約78.7%にとどまっており、残り約2割の方への対応が今後の課題とされています。
休眠口座と未利用手数料
長期間取引のない口座への手数料導入は、すでに複数の大手銀行で始まっています。三菱UFJ銀行や三井住友銀行、横浜銀行では、2年以上未利用の口座に対して年間1,320円程度の手数料を課す仕組みがすでに導入されています。かつては通帳の記帳や繰り越しだけで休眠を回避できた時代もありましたが、各行の対応は異なり、単純な記帳では「異動」とみなされないケースも出てきています。専門家の間では、今後さらに多くの銀行が同様の手数料制度を導入する可能性があると見られています。
口座整理で手数料を回避する方法
年に1回以上、少額でも入出金や口座振替を行えば、多くの銀行で休眠状態を防ぐことができます。例えば、毎月の公共料金の自動引き落とし口座として使い続けるだけでも有効です。使わなくなった口座は早めに解約し、必要な口座だけを適切に管理することが、余分なコストを避ける上で重要です。ネット銀行は最低残高の縛りが少なく、スマートフォンで手軽に管理できるため、口座の整理先として検討する価値があります。
非居住者の口座管理強化
海外在住の日本人や長期赴任者にとって、日本の銀行口座の維持はこれまで以上に計画的な対応が必要になっています。国税庁の資料によると、2026年から共通報告基準(CRS)の改正版が施行され、日本の金融機関が保有する非居住者の口座情報が海外の税務当局と自動的に共有される仕組みが本格稼働します。これに伴い、外国の納税者番号(TIN)の届け出が求められるケースも増える見込みです。口座保有者が正確な居住地情報を銀行に提供していない場合、サービスの制限が生じる可能性があります。
出国前に済ませるべき手続き
1年以上海外に居住する場合、多くの銀行は「非居住者口座」への切り替え手続きを求めています。ゆうちょ銀行のように解約を推奨する銀行がある一方、三井住友銀行などは非居住者向けサービスを提供しており、海外送金機能を一定の条件下で利用し続けることができます。銀行によって対応が大きく異なるため、出国前に利用中の銀行に直接確認することが不可欠です。事前の手続きを怠ったまま出国すると、帰国後も含めて口座利用に支障が出ることがあります。
マイナンバーと相続手続きの連携
相続の場面でも、マイナンバーを活用した仕組みが広がっています。銀行口座にマイナンバーを登録しておくことで、相続人が故人の口座を一括照会できる手続きが整備されつつあります。以前は各金融機関を個別に回って確認するしかなく、相続人が把握していない口座が長期間放置されるケースも少なくありませんでした。マイナンバー連携が進むことで、こうした「知らない口座」の発生を抑える効果が期待されています。口座保有者は、今のうちに銀行へのマイナンバー登録状況を確認しておくことが望ましいでしょう。
家族への情報共有の重要性
制度が整備されても、家族が口座の存在自体を知らなければ手続きは進みません。高齢の親御さんがいる家庭では、どの金融機関に口座があるか、通帳やカードがどこにあるかを家族間で共有しておくことが現実的な備えになります。スマートフォンを使った本人確認が難しい方は、窓口での郵送手続きという選択肢も残されています。家族が代理で手続きを行う場合は、委任状と代理人の本人確認書類の準備が必要になるため、事前に各銀行の手順を確認しておくと安心です。
マイナカード未保有者への影響
今回の一連の変更で最も注意が必要なのは、マイナンバーカードも運転免許証も持っていない人への影響です。総務省のデータによると、マイナカードの普及率は約78.7%であり、運転免許証の保有率も約75%です。どちらも持たない市民は、住民票の原本を郵送する手続きが残される予定ですが、書類の発行・郵送といった手間が新たに発生します。また、対面窓口での手続きも、各銀行のシステム対応状況によってはIC読み取りが標準化される方向に進む可能性があります。
スマホ操作が難しい高齢者の対応策
eKYCへの移行が進む中、スマートフォンの操作に慣れていない高齢者にとってはハードルが上がる可能性があります。複数の金融機関からは「利用者の準備が不十分」との懸念も示されており、移行のタイミングは銀行によって異なる見通しです。家族が同行して窓口で手続きをサポートする形も引き続き認められる予定で、焦って対応する必要はありません。ただし、年金口座など生活に直結する口座は、早めに登録情報を最新の状態に保つことが安心につながるでしょう。
免責事項:本記事は公開情報および公的機関の資料をもとに作成した解説記事です。銀行ごとの対応や制度の詳細は、利用中の金融機関または公的機関の最新情報を直接ご確認ください。個別の資産管理や税務については、専門家にご相談されることをお勧めします。


